子供の権利条約

国連・子供の権利委員会・第3回審査、最終見解


公開:2016年5月20日、更新:2017年2月19日

 国連・子供の権利条約(正式名称:児童の権利に関する条約、児童の権利条約)における、第3回審査の政府報告・質問回答・最終見解を、「外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/」から転載します。利用に際しては、転載日以降の変更や、転載時のミスなどにご注意ください。

 

転載元:外務省、児童の権利条約、第3回最終見解(2010年6月)

転載日:2016年5月14日

1.テキスト


(仮訳)

国際連合  CRC/C/JPN/CO/3

児童の権利に関する条約

配布:一般

2010年6月20 日

原語:英語

児童の権利委員会

第54回会期

2010年5月25日-6月11日

 

条約第44条に基づき締約国から提出された報告の審査

最終見解:日本

(訳注:本文中、特段の断りがない限り、条約は「児童の権利に関する条約」を、委員会は「児童の権利委員会」を指す。)

 

1. 委員会は、日本の第3回定期報告(CRC/C/JPN/3)を、2010年5月27日の第1509回及び第1511回会合(CRC/C/SR.1509及び1511)において審査し、2010年6月11日の1541回会合において、以下の最終見解を採択した。

 

A. 序論

2. 委員会は、第3回定期報告と委員会からの事前質問事項に対する書面による回答(CRC/C/JPN/Q/3/Add.1)を歓迎する。委員会は、分野横断的な代表団の参加と、有益かつ建設的な対話を歓迎する。

3. 委員会は、この最終勧告は、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書(CRC/C/OPSC/JPN/CO/1)及び武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書(CRC/C/OPAC/JPN/CO/1)に関する締約国の第1回報告に対する、2010年6月11日に採択された最終見解と併せて読まれるべきものであることを締約国に対し想起させる。

 

B. 締約国によるフォローアップとしてなされた政策と進展

4. 委員会は、締約国が、2004年8月2日に武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書を、2005年1月24日に児童の売買、買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書を締結したことを歓迎する。

5. 委員会は、以下の法的措置の採択について評価をもって留意する:

(a) 2004年及び2008年に児童虐待防止法が改正され、特に、児童虐待の定義が見直され、政府及び地方自治体の責任が明確化され、児童虐待の事案の通告義務が拡大されたこと、

(b) 2004年及び2008年に児童福祉法が改正された結果、特に、地方自治体に対し、要保護児童対策地域協議会を設立する権限が与えられたこと、

(c) 2005年の刑法の改正により、人身取引が犯罪化されたこと、

(d) 2010年の子ども・若者育成支援推進法の施行、

(e) 2010年の教育基本法の改正。

6. 委員会はまた、人身取引対策行動計画(2009年12月)及び2005年7月に採択された、自殺率の削減に向けた取組の調整を円滑化するための「自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議」を歓迎する。

 

C. 主要分野における懸念及び勧告

1. 一般的実施措置(第4条、第42条及び第44条6)

 

委員会の前回勧告

7. 委員会は、第2回報告(CRC/C/104/Add.2)の審査に基づき2004年2月に出された懸念及び勧告(CRC/C/15/Add.231)のいくつかに対処するためになされた締約国の努力を歓迎する。しかしながら、これらの懸念及び勧告の多くについて、完全には実施されてない、あるいは、全く対処がなされていないことを遺憾に思う。委員会は、本文書において、これらの懸念と勧告を繰り返す。

8. 委員会は、締約国に対し、第2回政府報告の審査に基づく最終見解の勧告のうち、未だ実施されていないもの(調整及び国内行動計画に関するパラ12、独立した監視に関するパラ14、児童の定義に関するパラ22、非差別に関するパラ24、氏名及び国籍に関するパラ31、体罰に関するパラ35、障害に関するパラ43 及び若者の自殺に関するパラ47 に含まれる勧告を含む)、本最終見解において指摘されている懸念に包括的に対処することを要請する。

 

留保

9. 委員会は、締約国が条約第37条(c)に付している留保を維持していることを遺憾に思う。

10. 委員会は、締約国が条約の完全な適用の障害となっている第37条(c)に付している留保を撤回することを検討するよう勧告する。

 

立法措置

11. 委員会は、児童の権利の分野において、いくつかの法制度が施行及び改正され、これにより、児童の生活環境の改善や発達に貢献していることに留意する。しかしながら、委員会は、子ども・若者育成支援推進法が、条約の全範囲に対応せず、又は、児童の権利を保障していないこと、また包括的な児童の権利法が存在しないことを引き続き懸念する。委員会はまた、少年司法を含む国内法の諸点については未だに条約の原則及び規定と適合していない点に留意する。

12. 委員会は、締約国が、児童の権利に関する包括的な法律を制定することを検討し、条約の原則及び規定と国内法制度の完全なる適合に向け対処するよう強く勧告する。

 

調整

13. 委員会は、子ども・若者育成支援推進本部、教育再生会議及び様々な政府審議会等児童の権利に関する政策の実施に関与するいくつかの国内機関が存在していることに留意する。しかしながら、委員会は、これらの機関相互間の、また、国・都道府県・市町村レベルの効果的な調整を確保するメカニズムが存在しないことを懸念する。

14. 委員会は、締約国が、児童の権利の実現のために行われる全ての活動を、国・都道府県・市町村レベルにおいて効果的に調整するための、明確な権限と十分な人的・財政的資源を有する適切な国内メカニズムを構築すること、及び、児童の権利の実現に携わる市民社会組織との継続的な意見交換と調整を確立することを勧告する。

 

国内行動計画

15. 委員会は、子ども・若者育成支援推進法(2010年4月)を含む複数の具体的な措置の採択を歓迎し、全ての児童の発達を支援し、完全に尊重することを目的として、政府諸機関をまとめることを目指した“子ども・子育てビジョン”及び“子ども・若者ビジョン”の策定につき関心をもって留意する。しかしながら、委員会は、条約の全範囲を網羅し、特に、児童の間に存在する不平等や格差に対処する、権利をベースとした包括的な国内行動計画が欠如していることに、引き続き懸念を有する。

16. 委員会は、締約国に、地方自治体・市民社会・児童を含む関係者と協議・協力し、条約の全範囲をカバーする中長期目標を有する児童のための国内行動計画を採択・実施すること、さらに、成果を監督し、要すれば対策を修正する監視メカニズムとともに、適切な人的・財政的資源を提供するよう勧告する。特に、委員会は、行動計画が、所得・生活水準の不平等に加え、性別、障害、出身民族及び児童が発達し、学び、責任ある人生に向け準備する機会を形作っているその他要素による不均衡に対処するよう勧告する。委員会は、締約国が、“児童にふさわしい世界を”(2002年)及びその中期レビュー(2007年)の成果文書を考慮するよう勧告する。

 

独立した監視

17. 委員会は、国家レベルで条約の実施を監視するための独立したメカニズムの欠如に懸念を表明する。この点において、委員会は、5つの地方自治体が児童のためのオンブズパーソンを任命したとの締約国からの情報に留意する。しかしながら、委員会は、オンブズパーソンの権限、独立性、機能、有効性を確保するための財政的及びその他の資源並びに残念ながら2002年以降懸案となっている人権擁護法案のもとで創設されることになる人権委員会との想定される関係についての情報が欠如していることを遺憾に思う。

18. 委員会は、締約国に以下を勧告する:

(a) 人権擁護法案の可決及び国内機構の地位に関する原則(パリ原則)に従った国内人権委員会の創設を促進し、また、国内人権委員会に対し、条約の実施を監視し、申立てを受理・フォローアップし、かつ、児童の権利の組織的な侵害を調査する権限を与えること、

(b) 次回の報告において、国内人権委員会及びオンブズパーソンに割り当てられた権限、機能、及び資源についての情報を提供すること、

(c) 独立した人権機関の役割についての委員会の一般的意見No.2(2002年)を考慮すること。

 

資源の配分

19. 委員会は、締約国の社会支出がOECD平均より低いこと、貧困が最近の経済危機以前から既に増加しており、現在、貧困が人口の約15%に達していること、また、児童のための補助金と、児童の福祉及び発達のための手当が一貫して整備されていないことに対する深い懸念を表明する。委員会は、新しい手当制度及び高校の無償化に関する法律を歓迎するが、国及び地方自治体予算における児童のための予算割当が明確でないため、児童の生活に与える影響という観点から支出を検証し評価することが不可能となっていることに引き続き懸念を有する。

20. 委員会は締約国に以下を強く勧告する:

(a) 締約国は、予算割当が児童の権利を実現する締約国の義務を果たすことを確保するため、児童の権利の観点から国及び地方自治体における予算を徹底的に検証すること、

(b) 児童の権利の優先性を反映した戦略的な予算額を定義すること、

(c) 財源の変化に対しても、児童のための優先予算額を保護すること、

(d) 指標に基づいた政策の成果をフォローアップする追跡システムを確立すること、

(e) 市民社会及び児童が、全てのレベルにおいて協議できることを確保すること。

 

データ収集

21. 委員会は、児童及び児童の行動について相当量のデータが定期的に集積され公表されていることを認識している。しかしながら、委員会は、貧困状態にある児童・障害のある児童・外国籍児童の就学率や、学校における暴力やいじめを含む、条約がカバーするいくつかの分野に関するデータの欠如に懸念を表明する。

22. 委員会は、締約国に、児童の権利が侵害される危険にさらされている児童についてのデータを収集する努力を強化することを勧告する。締約国はまた、条約の実施の進捗を効果的に監視し、評価する指標を作成し、児童の権利の分野における政策の効果を評価するべきである。

 

広報、研修、意識啓発

23. 委員会は、締約国が、児童と共に及び児童のために働いている職業従事者及び一般市民の間に、条約についての意識を啓発するために努力していることに留意する。しかしながら、こうした努力が十分ではなく、条約の原則及び規定を広報する計画が実施されていないことを引き続き懸念する。特に、児童及びその親に対するより効果的な広報は緊急に必要である。委員会はまた、児童と共に及び児童のために働いている職業従事者に対する研修が不十分なものであることを懸念する。

24.委員会は、締約国が、児童と親の間に、条約に関する情報を幅広く周知することを慫慂する。委員会は、締約国が、児童の権利を含む人権について、児童と共に及び児童のために働くすべての人々(教師、裁判官、弁護士、法執行官、報道関係者、全てのレベルの国家及び地方公務員を含む)に対し、系統だった継続的な研修プログラムを作成することを要請する。

 

市民社会との協力

25. 委員会は、締約国による、市民社会組織との数多くの会合についての情報に留意する。しかしながら、委員会は、児童の権利のための政策・プログラムの発展、実施、評価の全ての段階において重要である継続的な協力の実施が、今のところ確立されていないことを懸念する。委員会はまた、委員会の前回最終見解の実施に関して市民社会組織が関与していなかったこと、もしくは第3回定期報告の準備において彼らの見解を提示する十分な機会を与えられなかったことを懸念する。

26. 委員会は、締約国に対し、市民社会との協力の強化し、定期報告の準備を含む条約の実施における全ての段階を通じ、市民社会組織をより系統的に関与させることを慫慂する。

 

児童の権利及び企業部門

27. 委員会は、児童及びその家族の生活における民間部門の大きな影響について留意し、かつ、児童の幸福及び発展に関して企業部門が有する社会的・環境的責任についての締約国の規則が仮に存在するのであれば、それらについての情報が欠如していることを憂慮する。

28. 委員会は、地域社会、特に、企業活動から生まれるいかなる有害な影響からも特に児童をはじめとした地域社会を保護する目的で、企業セクターが企業の社会的・環境的責任についての国際及び国内基準に適合することを確保するために、締約国が規則を制定し、実施するための効果的な対策をとるよう慫慂する。

 

国際協力

29. 委員会は依然として相当な額に上る政府開発援助(ODA)に留意し、2003年の戦略的見直しの結果、貧困削減、持続可能性、安全保障及び平和維持への取組に高い優先順位が置かれた2003年の戦略的見直しを歓迎する。しかし、締約国が一貫してODA予算を削減し、対国内総生産(GDP)比の0.2%の水準であり、国際的に合意された対GDP比0.7%の目標をはるかに下回っていることを懸念する。特に、委員会は、開発途上国における気候変動対策のための措置を含む特別な目的への追加的な予算割当てや、アフリカ諸国への大幅な支援額の増加を除き、一般的な変化は計画されていないことを懸念する。

30. 委員会は、締約国が、特に、児童に資するプログラムや措置に向けた資源の増加を目標として国際的なODA目標達成へのコミットメントを再考するよう勧告する。委員会は、さらに、締約国が、関係の被援助国に対する委員会の最終見解と勧告を考慮するよう提案する。

 

2. 児童の定義(条約第1条)

 

31. 委員会は前回の最終見解(CRC/C/15/Add.231, パラ22)において、婚姻適齢につき少年(18歳)と少女(16歳)の差異をなくすことを勧告したにもかかわらず、この不平等が残っていることに懸念を表明する。

32. 委員会は、締約国が現在の立場を変え、両性ともに婚姻適齢を18歳とすることを勧告する。

 

3. 一般原則(条約第2条、第3条、第6条、第12条)

 

差別の禁止

33. 委員会は、いくつかの法的措置にもかかわらず、今なお、嫡出でない子が、相続に関する法律において嫡出子と同様の権利を享受していないことを懸念する。委員会はまた、民族的少数者に属する児童、外国籍児童、移民労働者の児童、難民児童及び障害のある児童に対する社会的な差別が根強くあることを懸念する。委員会は、男女共同参画の推進に言及した教育基本法第5条の削除に対する女子に対する差別の撤廃に関する委員会の懸念(CEDAW/C/JPN/CO/6)を改めて表明する。

34. 委員会は締約国に以下を勧告する;

(a) 包括的な差別禁止法を制定し、根拠にかかわらず児童を差別する法律を廃止すること、

(b) 特に、少女や民族的少数者に属する児童、外国籍児童、障害のある児童への実質的な差別を削減し、予防するために、意識啓発キャンペーン及び人権教育を含めた必要な措置を講じること。

35. 委員会は、刑法が、強姦及び関連犯罪の潜在的被害者として女性や少女のみを認識し、それゆえ、これら規定により与えられる保護が少年に及ばないことに懸念をもって留意する。

36. 委員会は、締約国が、男児であれ女児であれ、強姦の被害者すべてに同様の保護が与えられるよう刑法改正を検討することを勧告する。

 

児童の最善の利益

37. 児童福祉法のもと、児童の最善の利益が考慮されているとの締約国による情報を認めつつ、委員会は、1974年に可決された同法が最善の利益の優先を十分に考慮していないことに懸念をもって留意する。特に、この権利が、難民や不法移民の児童を含む全ての児童の最善の利益を強制力をもって組み込む過程を通じて、全ての法律に正式かつ組織的に取り入れられてないことを懸念する。

38. 委員会は、締約国に、全ての法的規定及び児童に影響を与える司法・行政における決定・プロジェクト・計画・サービスにおいて、児童の最善の利益の理念が実現され、監視されることが確保されるよう、努力を継続・強化することを勧告する。

39. 委員会は、児童を監督・保護する責任にある多くの機関が、特に、職員数及びその適性並びに監督及びサービスの質において適切な基準を満たしていないことを懸念をもって留意する。

40. 委員会は以下を締約国に勧告する;

(a) これらの機関によって提供されるサービスの質と量について、公的及び民間セクターいずれにも適用可能なサービスの基準を作成・定義するための効果的な措置を講じること、

(b) 公的・民間セクターの双方において、継続的にこうした基準を遵守すること。

 

生命に対する権利並びに生存及び発達する権利

41. 児童、特に青少年の自殺案件に関する、「自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議」等を通じた締約国の取組に留意するが、委員会は、児童・青少年の自殺、及び自殺・自殺未遂のリスク要因についての調査が欠如していることに、依然として懸念を有する。委員会はまた、児童関連施設における事故がそれらの施設の安全最低基準が遵守されていないことと関連している可能性があるとの情報について懸念する。

42. 委員会は、締約国が児童による自殺のリスク要因を調査し、防止措置をとり、学校にソーシャルワーカー・心理相談サービスを備えさせ、かつ、児童への指導システムが困難な状況にある児童に追加的なストレスを与えることがないように確保するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、公的・私的を問わず、児童のための施設を備えた機関が、適切な最低限の安全基準を遵守することを確保するよう勧告する。

 

児童の意見の尊重

43. 裁判及び行政手続、学校、児童関連施設、家庭において、児童の意見が考慮されているとの締約国からの情報に留意するが、委員会は、公的な規則が高い年齢制限を設定していること、児童相談所を含む児童福祉サービスが児童の意見にほとんど重きを置いていないこと、学校が児童の意見を尊重する分野を制限していること、政策立案過程において児童が有するあらゆる側面及び児童の意見が配慮されることがほとんどないことに対し、引き続き懸念を有する。委員会は、児童を、権利を有する人間として尊重しない伝統的な価値観により、児童の意見の尊重が著しく制限されていることを引き続き懸念する。

44.条約第12条及び児童の意見の尊重に関する委員会の一般的意見No.12(2009年)に照らし、委員会は、児童が、学校、その他の児童関連施設、家庭、地域社会、裁判所、行政組織、政策立案過程を含むあらゆる状況において自らに影響を与えるあらゆる事柄について意見を十分に表明する権利を促進するための取組を締約国が強化するよう勧告する。

 

4. 市民的権利及び自由(条約第7条、第8条、第13条~第17条、第19条、第37条(c))

 

出生登録

45. 委員会は、前回の最終見解(CRC/C/15/Add.231)においても留意しているが、締約国の規則の多くが、登録されていない移民が彼らの児童の出生を登録できないことを含め、特定の状況下にある両親のもとに生まれた児童の出生登録の可能性を制限する効力を有していることに改めて懸念を表する。これらの規則の結果、多くの児童が登録されず、実質上無国籍の状態に至らしめている。

46. 委員会は、以下を締約国に勧告する。

(a) 全ての児童を登録し、実質上無国籍状態から児童を保護することを確保するために、国籍法及び関係規則を条約第7条の規則と適合させるべく改正すること、

(b) 無国籍者の地位に関する条約(1954年)及び無国籍の削減に関する条約(1961年)の締結を検討すること。

 

体罰

47. 学校における体罰が明示的に禁止されていることに留意するが、委員会は、体罰の禁止が効果的に履行されていないとの報告に懸念を表明する。委員会は、全ての体罰を禁止することを差し控えた1981年の東京高等裁判所によるあいまいな判決に懸念をもって留意する。さらに、委員会は、家庭及びその代替的監護環境において、体罰が法律上明示的に禁止されておらず、特に民法及び児童虐待防止法が、適切なしつけの行使を許容し、体罰への許容性について不明確であることを懸念する。

48. 委員会は、締約国に対し以下を強く勧告する;

(a) 家庭及びその代替的監護環境を含む全ての環境における、体罰及び児童の品位を下げるあらゆる形態の扱いを法律により明示的に禁止すること、

(b) 全ての環境において、体罰の禁止を効果的に行うこと、

(c) 家族、教師、児童とともに又は児童のために働くその他の職業的従事者に対し、代替の非暴力的形態によるしつけについての教育を行うための、キャンペーンを含む広報プログラムを実施すること。

 

児童に対する暴力に関する国連調査のフォローアップ

49. 国連事務総長による児童に対する暴力に関する調査(A/61/299)に関し、委員会は締約国に以下を勧告する;

(a) 2005年6月14日から16日にバンコクで開催された東アジア太平洋地域コンサルテーションの成果及び勧告を考慮しつつ、 児童に対する暴力に関する国連の調査の勧告を実施するために必要なあらゆる措置を講ずること、

(b) 特に以下の勧告に注意を払いつつ、児童に対するあらゆる形態の暴力を排除するための調査の勧告の実施を優先させること;

(i) 児童に対するあらゆる形態の暴力を禁止すること、

(ii) 児童とともにまたは児童のために働く全ての人のキャパシティを強化すること、

(iii) 復帰及び社会的再統合に向けたサービスを提供すること、

(iv) 児童にとってアクセスしやすくかつ児童にやさしい通報システム及びサービスを創設すること、

(v) 説明責任を確保し、不処罰を終結させること、

(vi) 国内データの組織的な収集と調査を開発・実施すること。

(c) 市民社会と連携し、特に児童の関与を得て、それぞれの児童が全ての形態の肉体的・性的・心理的な暴力から保護されることを確保し、また、そうした暴力と虐待を防止し、対処するために、具体的かつ要すれば期限を定めた行動への機運を得るために、これらの勧告を行動に向けた道具として利用すること、

(d) 次回の報告において、締約国は調査の勧告の実施状況についての情報を提供すること、

(e) 児童に対する暴力に関する国連事務総長特別報告者と協力し、支援すること。

 

5. 家庭環境及び代替的監護(条約第5条、第18条1及び2、第9条~第11条、第19条~第21条、第25条、第27条4及び第39条)

 

家庭環境

50. 日本社会における家族の価値が恒久的な重要性を有していることを認識しているが、委員会は、親子関係の悪化に伴って、児童の情緒的及び心理的な幸福に否定的な影響を及ぼし、その結果、児童の施設収容という事態まで生じているとの報告に懸念を有する。委員会は、これらの問題が、高齢者介護と若者との間に生じる緊張状態、学校における競争、仕事と家庭を両立できない状態、特に、ひとり親家庭に与える貧困の影響といった要因に起因している可能性がある問題であることに留意する。

51. 委員会は、締約国が、子育ての責任を果たす家族の能力を確保できるように男女双方にとっての仕事と家庭の間の適切な調和を促進すること、親子の関係を強化すること、及び、児童の権利に関する意識を啓発することなどにより、家族を支援し強化するための措置を導入することを勧告する。委員会はまた、児童の施設収容を防止するため、社会制度が不利な境遇にある児童や家族を優先し、適切な財政的、社会的及び心理的支援を提供するよう勧告する。

 

親の養護のない児童

52. 委員会は、親の養護のない児童を対象とする家族基盤型の代替的児童養護についての政策の不足、家族による養護から引き離された児童数の増加、小規模で家族型の養護を提供する取組にかかわらず多くの施設の不十分な基準、代替児童養護施設において広く虐待が行われているとの報告に懸念を有する。この点に関し、委員会は、残念ながら広く実施されていない通報制度の確立に留意する。委員会は、里親が義務的研修を受けていることや引き上げられた里親手当を受けていることを歓迎するが、一部の里親が財政的に支援されていないことに懸念を有する。

53. 委員会は条約第18条に照らし、締約国に以下を勧告する;

(a) 里親が小規模なグループ施設のような家族型環境において児童を養護すること、

(b) 里親制度を含め、代替的監護環境の質を定期的に監視し、全ての監護環境が適切な最低基準を満たしていることを確保する手段を講じること、

(c) 代替的監護環境下における児童虐待について責任ある者を捜査、訴追し、適当な場合には虐待の被害者が通報手続、カウンセリング、医療ケア及びその他の回復支援にアクセスできるよう確保すること、

(d) 全ての里親に財政的支援がされるよう確保すること、

(e) 2009年11月20日に採択された国連総会決議(A/RES/64/142)に含まれる児童の代替的監護に関する国連ガイドラインを考慮すること。

 

養子縁組

54. 養親となるべき者又はその配偶者の直系卑属である子との養子縁組が、司法の監視や家庭裁判所の許可なく行えることに懸念をもって留意する。さらに委員会は、国外の養子の登録を含む国際養子縁組に対する適切な監視の欠如を懸念する。

55. 委員会は、締約国に対し以下を勧告する;

(a) すべての養子縁組が裁判所の許可を必要とするとともに、児童の最善の利益に合致し、また、すべての養子の登録が維持されることを確保するための措置を講じ、効果的に実施すること、

(b) 国際養子縁組に関する子の保護及び国際協力に関するハーグ条約(1993年)の締結を検討すること。

 

児童虐待とネグレクト

56. 委員会は、児童虐待を防止するメカニズムを規定し、強化する児童虐待防止法及び児童福祉法の改正をはじめとする取組を歓迎する。しかしながら、委員会は、民法において「包括的な支配」の実行の権利を与える「親権」の概念及び過剰な親の期待は、児童を家庭での暴力の危険にさらしているということに引き続き懸念を有している。委員会は、児童虐待の件数が増加し続けていることに懸念をもって留意する。

57. 委員会は、児童虐待の問題に対処する現在の取組を、以下を含めてさらに強化するよう締約国に勧告する;

(a) 虐待とネグレクトのネガティブな影響についての公共教育プログラム及び積極的かつ非暴力的形態によるしつけの促進する家族開発計画などの防止プログラムを実施すること、

(b)家庭及び学校における虐待の被害児童に対し、適切な保護を提供すること。

 

6. 基礎的保健及び福祉(条約第6条、第18条3、第23条、第24条、第26条、第27条1~3)

 

障害のある児童

58. 委員会は、締約国が障害のある児童を支援し、学校における共同学習を含む社会参加を促進し、自立を図ることを目的として、法律を採択しサービスと施設を設立したことに留意する。委員会は、深く根付いた差別が今なおあること、また、障害のある児童のための措置が注意深く監視されていないことに引き続き懸念を有する。委員会はまた、必要な機具と設備に対する政治的意思と財源が欠如していることにより、障害のある児童による教育へのアクセスが引き続き制約されていることに、懸念をもって留意する。

59. 委員会は、締約国に対し以下を勧告する;

(a) 障害のある全ての児童を完全に保護するために法律を改正し、及び採択するとともに、進捗状況を注意深く記録し、実施における欠陥を特定する監視システムを確立すること、

(b) 障害のある児童の生活の質を高め、彼らの基本的ニーズを満たし、かつ、彼らが包容され及び参加することを確保することに焦点を当てた、地域社会を基盤とするサービスを提供すること、

(c) 存在する差別的な態度と闘うための意識啓発キャンペーンを実施し、障害のある児童の権利及び特別なニーズについて社会の感受性を高め、障害のある児童の社会への包容を慫慂し、また、聴取される児童及び親の権利の尊重を促進すること、

(d) 障害のある児童に対して、十分な人的・財政的資源を伴ったプログラム及びサービスを提供するため、あらゆる努力を行うこと、

(e) 障害のある児童を包容する教育のための必要な設備を学校に設置し、児童が希望する学校を選択し又は彼らの最善の利益に従い通常の学校と特別支援学校との間を転校できることを確保すること、

(f) 障害のある児童のために、また障害のある児童とともに活動している非政府組織(NGO)に対し、支援を提供すること、

(g) 教師、ソーシャルワーカー、保健・医療・治療・養護従事者をはじめとした、障害のある児童とともに活動している職業従事者に対し研修を行うこと、

(h) この関連で、障害のある人の機会均等化に関する国連規則(国連総会会議48/96)及び障害のある児童の権利に関する委員会の一般的意見No.9(2006年)を考慮すること、

(i) 締約国が署名済みの障害者の権利に関する条約、及びその選択議定書(2006年)を締結すること。

 

メンタルヘルス

60. 委員会は、著しい数の児童が情緒面での健康状態が低いとの報告をしていること、また両親や教師との関係の貧しさがその決定要因となっている可能性があることを示すデータに留意する。委員会はまた、発達障害者支援センターにおける注意欠陥多動性障害(ADHD)の相談数が増加していることに留意する。委員会は、ADHDの治療に関する研究と医療従事者の研修が開始されたことを歓迎するが、この現象が主に薬物によって治療されるべき生理的障害とみなされ、社会的決定要因が適切に考慮されていないことを懸念する。

61. 委員会は、締約国が、全ての環境における効果的な支援を確保するための学際的アプローチを通じ、児童と青少年の情緒的・心理的な健康問題に対処するために効果的な措置を講じるよう勧告する。また、委員会は、締約国がADHDの診断数の推移を監視するとともに、この分野における研究が製薬産業とは独立した形で実施されることを確保するよう勧告する。

 

保健サービス

62. 委員会は、学校において行動面での期待を満たさない児童が、児童相談所に送致されていることを、懸念をもって注目する。委員会は、児童の意見が聴取されるという児童の権利の実現や、児童の最善の利益の実現を含む専門的対処の基準についての情報がないことを懸念し、成果についての組織的評価を入手できないことを遺憾に思う。

63. 委員会は、締約国が、児童相談所のシステム及びその作業方法に関し、リハビリテーションの成果に関する評価も含め独立した調査を委託し、次回の定期報告にこの調査結果についての情報を含めることを勧告する。

 

HIV/AIDS

64. 委員会は、HIV/AIDS及びその他の性感染症の感染率が上昇していること並びに青少年に対するこれらの健康問題についての教育が限定的であることへの懸念を表明する。

65. 委員会は、締約国が学校カリキュラムにリプロダクティブ・ヘルス教育を含めることを確保し、かつ、青少年に対して、10代の妊娠及びHIV/AIDS等の性感染症の予防を含む自己のリプロダクティブ・ヘルスに関する権利についての情報を十分に提供し、青少年の健康と発達に関する委員会の一般的意見No.4(2003)を考慮し、HIV/AIDS及び他の性感染症の全ての予防プログラムが青少年にとって容易にアクセスできるよう確保することを勧告する。

 

適切な生活水準に対する権利

66. 対話を通じて、委員会は、全ての子どもを対象とする子ども手当制度が2010年4月から施行された旨の情報を提供されたが、この新たな措置が、現行の生活保護法及びひとり親世帯、特に母親が世帯主であるひとり親世帯を対象とした支援等の措置と比較し、15%の貧困率を下げる上で、より有効であるかについて評価するデータがない。委員会は、財政経済政策(労働の規制緩和や民営化戦略等)が、賃金削減、女性と男性の賃金格差及び児童の養護・教育支出の増加により、親、特にシングルマザーに影響を与えていることを懸念する。

67. 委員会は、締約国が、貧困の複雑な決定要因、発達に対する児童の権利及びひとり親世帯を含む全ての世帯に対して確保されるべき生活水準を考慮しながら、貧困削減戦略の策定を含め、児童の貧困を根絶するために適切な資源を配分するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、親は子育ての責任を負っているために労働の規制緩和及び柔軟化といった経済戦略に対処する能力が限られていることを考慮に入れるとともに、財政的及びその他の支援の提供によって、児童の福祉及び発達にとって必要な家族生活を保障できているかどうか、注意深く監視するよう要請する。

 

児童の養育費回収

68. 児童の養育費の回収の促進を目的とする2004年の民事執行法の改正に留意しつつ、委員会は、国を離れた親を含む多数の別居又は離婚した親、多くは父親、が自らの扶養義務を果たさないこと、及び未払い養育費を回収する現行の手続が十分でないことを懸念する。

69. 委員会は、締約国に対し、以下を勧告する;

(a) 婚姻の有無に関わらず、双方の親が子どもの養育費を等分に負担し、どちらかがその義務を果たさない場合、養育費を効果的に回収することを確保する現行法及び措置の実施を強化すること、

(b) 支払い不能の親の養育費支払い義務に応じ、適当な場合には、後から民事又は刑事法規を通じてその未払い分を回収する、いわば国家基金のような新たな機構を通じて養育費が回収されることを確保すること、

(c)親責任及び子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行及び協力に関するハーグ条約(1996年)を締結すること。

 

7.教育、余暇及び文化的活動(条約第28条、第29条、第31条)

 

職業訓練及び指導を含む教育

70. 委員会は、日本の教育制度において極めて質の高い教育が行われていることは認識するが、学校や大学への入学のために競争する児童の人数が減少しているにもかかわらず、過度の競争に関する苦情が増加し続けていることに懸念をもって留意する。委員会はまた、高度に競争的な学校環境が、就学年齢にある児童の間で、いじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性があることを懸念する。

71. 委員会は、締約国が、質の高い教育と児童を中心に考えた能力の育成を組み合わせること、及び極端に競争的な環境による悪影響を回避することを目的とし、学校及び教育制度を見直すことを勧告する。この関連で締約国には教育の目的に関する委員会の一般的意見No.1(2001)を考慮するよう慫慂する。委員会はまた、締約国が同級生の間でのいじめと闘う努力を強化し、及びそのような措置の策定に児童の視点を反映させるよう勧告する。

72. 委員会は、中華学校、韓国・朝鮮人学校及びその他の出身の児童のための学校が不十分な補助金しか受けていないことを懸念する。委員会はまた、これらの学校の卒業生が、日本の大学入学試験を受験する資格がない場合があることを懸念する。

73. 委員会は、締約国に対し、外国人学校に対する補助金を増額し、大学入学試験へのアクセスが差別的でないことを確保するよう慫慂する。締約国に対し、ユネスコの教育における差別待遇の防止に関する条約への締結を検討するよう慫慂する。

74. 委員会は、日本の歴史教科書が、歴史的事件に関して日本の解釈のみを反映しているため、地域の他国の児童との相互理解を強化していないとの情報を懸念する。

75. 委員会は、締約国に対し、公的に検定されている教科書が、アジア太平洋地域の歴史的事件に関して、バランスのとれた視点を反映することを確保するよう勧告する。

 

遊び、余暇、文化的活動

76. 委員会は、締約国に対し、休息、余暇及び文化的活動に関する児童の権利を想起させるとともに、締約国が、公共の場所、学校、児童関連施設及び家庭における児童の遊びの時間及びその他の自主的活動を促進し、進展させる取組を支援するよう勧告する。

  

8. 特別な保護措置(条約第22条、第38条、第39条、第40条、第37条(b)、第30条、第32条~第36条)

 

同伴者のいない難民児童

77. 委員会は、犯罪行為の疑いがない場合でも庇護申請児童を収容する慣行が広く行われていること及び同伴者のいない庇護申請児童のケアのための確立されたメカニズムが欠如していることに懸念を表明する。

78. 委員会は、締約国に対し、以下を勧告する;

(a) 庇護申請児童の収容を防止し、入管収容施設からのすべての庇護申請児童の速やかな放免を確保し、彼らにシェルター、適切なケア及び教育へのアクセスを提供するため、公的なメカニズムの確立を含む速やかな措置を講じること、

(b) 児童の最善の利益が最優先に考慮されることを確保しつつ、公平かつ児童に配慮した難民認定手続の下、同伴者のいない児童の難民申請手続を加速させ、後見人や法的代理人を指名し、親や他の親族の追跡を行うこと、

(c) 国連難民高等弁務官(UNHCR)の「児童の最善の利益の公式な決定に関するガイドライン」及び「難民児童の保護及びケアに関するUNHCR ガイドライン」を考慮しつつ、難民保護分野における国際基準を尊重すること。

 

人身取引

79. 委員会は人身取引を犯罪化した2005年7月施行の刑法改正及び人身取引対策行動計画(2009年)を歓迎する。しかしながら、委員会は、調整と監視機関、及び特に児童に対する人身取引対策の効果について、同行動計画のために提供された資源についての情報の欠如に留意する。

80 委員会は、以下を締約国に勧告する;

(a) 特に児童に対する人身取引対策の効果的監視を確保すること、

(b) 人身取引被害者が身体的,心理的回復のための支援が提供されることを確保すること、

(c) 行動計画の実施に関する情報を提供すること、

(d) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書(2000年)を締結すること。

 

性的搾取

81. 委員会は、締約国の第2回政府報告の審査後の買春を含む児童の性的搾取の件数の増加に改めて懸念を表明する。

82. 委員会は、締約国に対し、児童の性的搾取の事案を捜査し、加害者を訴追し、性的搾取の被害者にカウンセリングその他の回復の支援を提供する努力を強化するよう勧告する。

 

少年司法

83. 委員会は、2000年の少年法改正が処罰的アプローチをとり、少年犯罪者の権利や司法上の保障を制限しているとの第2回政府報告(CRC/C/104/Add.2)に基づき2004年2月に表明した委員会の懸念(CRC/C/15/Add.231)を改めて表明する。特に、刑事責任年齢が16歳から14歳に引き下げられたことは、教育的措置の可能性を減らし、14歳から16歳の間の多くの児童を矯正施設への収容にさらすことになる。重大な罪を犯した16歳以上の児童が刑事裁判所に送致されうる。観護措置期間が4週間から8週間に延長された。新たな裁判員制度は専門の少年裁判所による少年犯罪者の取扱いの支障となっている。

84. さらに、委員会は、成人刑事裁判所に送致される児童の顕著な増加を懸念するとともに、法令に違反する行為をした児童に対する、弁護士へのアクセス権を含む、手続的保障が制度的に実施されておらず、その結果、とりわけ自白の強要や違法な捜査実務を生む結果となっていることを遺憾に思う。委員会はまた、少年矯正施設の収容者に対する暴力の水準、及び起訴前勾留において少年が成人と分離されない可能性を懸念する。

85. 委員会は、締約国に対し、少年司法制度を特に条約第37条、第40条、第39条や、少年司法運営に関する国連基準規則(北京ルールズ)、少年非行予防のための国連ガイドライン(リヤドガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナルールズ)や刑事司法制度の少年に対する行動のウィーンガイドラインを含むその他の少年司法分野における国連基準に完全に適合させるため、少年司法における児童の権利に関する委員会の一般的意見No.10(2007年)を考慮しつつ、少年司法制度の機能を再検討するよう要請する。委員会は、特に、締約国に以下を勧告する;

(a) 刑事司法制度に児童が関わりを持ってしまう社会状況排除の一助とするため、家族やコミュニティの役割をサポートするような防止的措置をとるとともに、その後の烙印を回避するあらゆる手段を講じること、

(b) 刑事責任最低年齢に関する法令を従前の16歳へ引き上げることで、見直しを検討すること、

(c) 刑事責任年齢以下の児童が刑事犯罪者として扱われ矯正施設に送られることがないようにし、法令に違反する行為をした児童が常に少年司法制度において扱われ、成人のように専門性を有しない裁判所において審理されないよう確保すること、また、このため、裁判員制度の見直しを検討すること、

(d) 現行の法的扶助制度の拡大などの方法により、すべての児童が手続のあらゆる段階で法的及びその他の支援を受けられることを確保すること、

(e) 保護観察、調停、社会奉仕命令、自由を剥奪する判決の執行の猶予など、自由の剥奪に代わる措置を、可能な場合には、実施すること、

(f) 自由の剥奪(起訴前及び後)が最後の手段として可能な限り最短の期間で適用されること、それを取消すことを目的として定期的に見直しを行うことを確保すること、

(g) 自由を剥奪された児童は成人とともに収容されず、起訴前を含め教育へのアクセスがあることを確保すること、

(i) 少年司法制度に関わるすべての専門家が適切な国際基準において訓練されること。

 

マイノリティまたは先住民族の集団に属する児童

86. アイヌの人々の状況改善のために締約国が講じた措置に留意する一方、委員会は、アイヌ、韓国・朝鮮人、部落出身者やほかのマイノリティの児童が社会的・経済的周縁化を経験し続けていることを懸念する。

87. 委員会は、締約国に対し、生活のあらゆる面において民族的少数者に属する児童に対する差別が除去されるための必要な法令又はその他の措置を講じ、条約に規定されたすべてのサービスや支援に等しくアクセスできることを確保するよう要請する。

 

9. フォローアップ及び広報

 

フォローアップ

88. 委員会は、締約国に対し、適当な場合には、適切な検討とさらなる行動のため、これらの勧告を、特に、高等裁判所、内閣、国会及び地方自治体の関係者に対し伝達し、勧告が完全に実施されることを確保するためあらゆる適切な手段を講じることを勧告する。

 

最終見解の広報

89. 委員会は、条約並びにその実施及び監視に関する意識啓発を促進する目的で、第3回定期報告、締約国が提出した文書回答及びこの最終見解を、自国の言語で、インターネットを含め、広く公衆一般、市民社会組織、報道、若者グループ、専門家グループ及び児童に提供することを勧告する。

 

次回報告

90. 委員会は、締約国に対し、第4回・第5回をあわせた定期報告を2016年5月21日までに提出するよう求める。報告は120ページを超えないものとし(CRC/C/118参照)、この最終見解の実施に関する情報を含めること。

91. 委員会は、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約体委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/MC/2006/3)で定められたコア・ドキュメントについての記載要件に適合した形で、最新のコア・ドキュメントを提出するよう求める。


2.PDFファイル

日本政府報告のPDFファイルにおいて、タイトルバーに「武力紛争における……」と表示される事がありますが、作成時のミスのようです。

ダウンロード
第3回日本政府報告(日本語仮訳)、2008年(平成20年)4月(PDF.134頁.916kB)
c6020-0804_kj03.pdf
PDFファイル 915.6 KB
ダウンロード
第3回日本政府報告に関する児童の権利委員会からの質問事項に対する日本政府回答(仮訳)、2010年4月(PDF.44頁.329kB)
c6021-1004_kj03_kaitou.pdf
PDFファイル 328.6 KB
ダウンロード
条約第44条に基づき締約国から提出された報告の審査(仮訳)最終見解:日本、2010年6月20日(第3回・日本に対する最終見解)(PDF.17頁.286kB)
c6022-1006_kj03_kenkai.pdf
PDFファイル 285.5 KB