晃華学園事件・児相問題

東京地裁・第2回報告会(3/4)

2015年4月27日


4. 第2回報告会.(3)解説

(注)略称……児相:児童相談所、児福法:児童福祉法、児虐法:児童虐待防止法、施設:児童相談所や児童養護施設、学校:晃華学園小学校、

 

■ ハンセン病と比べて

 

(水岡)児相問題と比較して興味深いのは、ハンセン病の事例。2001年5月、小泉純一郎が首相就任早々にハンセン病訴訟で控訴しないと決断し、国がハンセン病政策(隔離政策)について謝罪した。

 

 ハンセン病患者は、戦前から隔離政策が行われ、戦後も「らい予防法」により隔離政策が行われた。戦時中に特効薬が開発され、在宅治療で治る病気になったのに厚生省は隔離政策を続けた。1958年、東京で開かれた第7回国際ハンセン病学会で、「隔離政策は取るべきではない、施設は閉鎖するべきである」と勧告が出た。日本を名指ししなかったが、世界の中で隔離政策を続けていたのは日本だけだった。勧告から40年近く経った1996年に、らい予防法が廃止された。

 

 らい予防法が廃止された4年後、2000年に児虐法ができて、児童を隔離し始めた。隔離政策を繰り返している。歴史から何も学んでいない。らい予防法による隔離政策と、児虐法による児童隔離政策は、両方とも厚労省の所管であり、施設の利権が絡んでいるなど非常に共通点が多い。そこを追求する必要があると思う。

 

■ 厚労省について

 

(南出)厚労省の所管には非常に問題が多い。世界的な傾向もあるが、国家の構造や予算組みに関しても問題がある。

 

 戦前の日本は軍事大国で、国家予算22億円のうち10億円、5割近くが軍事費だった。そんな時代でも、軍事予算に反対する人たちがいて、国会で全会一致はなかった。

 

 今の日本は福祉大国で、「福祉」(児童福祉法、児童虐待防止法なども)と言うと、誰もが思考停止して反対しなくなる。議論も行われず、国会も全会一致で通ってしまう。昔の方が健全だった。

 

 今は税収が50億円なのに、厚労省の社会保障費が30億円もある(2014年度)。国家予算は借金でまかなっている。異常な状態である。社会保障費は全て厚労省の所管である。ハンセン病の利権がなくなり、児童問題を次の利権にしようとした。既得権益を拡張する為、子供が減ったとか、子供の貧困とか、手を変え品を変え次々と予算を拡張してくる。予算の拡張と、権限の拡張は、イコールである。明治時代には有司専制と言って、官僚支配を批判した。歴史は繰り返すと認識しないと、今の官僚支配もとんでもない事になってしまう。

 

----財務省より引用----

財務省「平成26年度予算のポイント」PDFファイル

(1) 一般会計総額95.9兆円

歳入:税収50.0兆円、公債金41.3兆円(公債依存度43%)、その他4.6兆円

歳出:基礎的財政収支72.6兆円、国債費23.3兆円

(2) 基礎的財政収支の内訳

社会保障費30.5兆円(32%)、地方交付税交付金16.1兆円(17%)、公共事業6兆円(6%)・・・

前年度比:基礎的財政収支2.2兆円増(3%増)。なお、社会保障費1.4兆円増(4.8%増)

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(水岡)厚生省は児虐法を国会に通す時、非常にずるいテクニック、タクティクス(策略)を使った。実際の件数は非常に少ないが、子供が殺されるような虐待事例がある。それは刑法の犯罪であり警察に任せるべきである。その極端な事例を出して、厚生大臣が国会で「児童虐待というのは殺人罪との境界領域だ」と言った。子供が殺されるような目に遭っている、だから児虐法が必要なんだと説いた。誰であっても、殺されそうな子供を助ける法律をいらないと言えないし、新しい法律ではなく刑法でやれば良いとも反対できない。その心理を利用した。このタクティクスは今もよく使われている。

 

 先日の世田谷区長選挙で、保坂展人が脱原発を訴えて再選した。その保坂が社民党の国会議員だった時、「これは子供の S.O.S. だから、何があっても成立させなければならない」と言って児虐法の提灯持ちをした。当時のブログに「私が児虐法の成立に貢献しました」と書いていた。

 

(注釈)保坂展人(ほさかのぶと):1955年生まれ、無所属、2011年に社民党を離党。当選:衆院3回(社民党・比例区)、現・東京都世田谷区長(2期目)。

 

 児相は、数の少ない極端な事例を出して、自分たちの政策を正当化する。実際に子供が殺されそうな事件が起きたら、児相は何もしない。親が刃物を持って、児相職員を攻撃するかもしれない。危険な事件には関わろうとしない。学校や病院から拉致すれば、安全で簡単に済む。だから表では極端な事例を出して世論を説得し、裏では晃華学園事件のように学校の虚偽の虐待通告で子供を連れていく。そして児童養護施設に放り込んでしまう。

 

■ 児童養護施設について

 

(水岡)児童養護施設には、また別の利権がある。児童養護施設は、戦災孤児を収容する為に作られた。戦災孤児は年数が経てば、成長して大人になり、施設からいなくなる。1990年代の初めには、少子化もあって入所する子供がいなくなり、多くの施設に閉鎖の危機が訪れた。

 施設は措置費という公費で子供を入れる。親がお金を払う保育園などとは根本的に違う。国が児相などを使い、子供の措置(強制的に入所させる事)を続けない限り、施設は潰れてしまう。

 

 多くの児童養護施設は社会福祉法人である。社会福祉法人は奇妙な組織である。昔、戦争直後に宗教団体や篤志家が自分の財産を投げ打って(寄付して)恵まれない子供の為に施設を作った。その法律は今も同じである。子供がいなくなって施設が潰れたら、財産は施設に寄付した事になっているから、彼らは財産を失ってしまう。どんな事があっても施設を倒産させないように、非常に強力な業界団体を持っている。業界団体のドンは、今の厚労大臣・塩崎恭久(自民党)。塩崎が中心になって児童養護施設の会を作った。自民党に取り入って利権を維持している。

 

(注釈)塩崎恭久(しおざきやすひさ):1940年生まれ、愛媛県、自民党。当選:衆院6回・参院1回。2014年9月から安倍内閣で厚生労働大臣。

 

 施設では絶えず問題が起きている。メディアにも出ているが、虐待、暴行、子供が逃げ出したりしている。業界団体は、施設の問題は無視して、親の虐待が問題だと繰り返している。虐待から子供を守る為として、児虐法の強化を主張している。そうなれば、施設に子供が入ってきて、施設の経営が安泰になる。それが児相利権と言われているものである。

 

■ 子供虐待防止世界会議について

 

(水岡)2014年9月、子供虐待防止世界会議という国際会議が名古屋で開催された。日本の児童虐待問題について、小林美智子(小児科医・小児精神科医)の基調講演を聞いた。「日本で児童虐待問題が語られるようになったのは、施設の子供が少なくなり、施設が閉鎖の危機にさらされた時です」とはっきり言った。彼女は、厚労省の子供虐待マニュアルなど、厚労省側で児童虐待問題の政策に関わっている。彼女が言うように、利権の為に面会禁止や施設入所措置が行われている。海外では考えられない。

 

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子供虐待防止世界会議 2014 名古屋

開催:2014年9月14日~17日、名古屋国際会議場

主催:国際子供虐待防止学会(ISPCAN)、日本子供虐待防止学会(JaSPCAN) 共同大会長/JaSPCAN会長:小林美智子

 

一般社団法人 日本子供虐待防止学会 JaSPCAN

理事長:小林美智子(子供の虹情報研修センター)

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 国連が出している代替養護の指針では、「特定の施設の経済的社会的利益の為に、児童虐待や代替擁護の政策を立ててはいけない」と禁止している。しかし、日本はそれを行なっている。かつてハンセン病では、多数の患者を隔離収容した施設があり、全て国費で運営されていた。児童虐待問題でも同じ事が行われている。ハンセン病の隔離政策(らい予防法)に代わるものとして、児童擁護施設が出てきたとも言える。

 

■ 児相利権の共著について

 

(南出)児相利権は、山ほどある厚労省利権のひとつ。もっと言うならば、各省庁の省益利権、全体的な問題もある。その中で、児相利権は厚労省利権の中核のひとつである。児相利権は、予算規模という事ではなく、構造的な矛盾として一番大きな問題。これは国の将来に、非常に禍根を残す問題である。皆さんにはそういう認識を持って頂きたい。この利権構造にメスを入れていく必要がある。水岡さんと2人で共著を出す予定。

 

 本件のテーマと離れるが、5年前に子宮頸がんワクチンの危険性 ※2 を発信した。問題にしたのは私だけで、ひどいバッシングを受けた。ようやく最近になり、アナフィラキシーショックなどから推奨を止める団体が出てきた。この問題も、認可前から、国会は全会一致で旗振りをしていた。共産党、公明党、自民党、民主党など、全会一致で採択して、公費助成までしている。予算が付いている訳だから、厚労省の利権になっている。

 

 母体保護法により中絶した女性が20万人近く ※3 いる。つまり胎児が20万人虐殺されている。身体的理由などで中絶せざるを得ない場合は仕方がない。多くは経済的理由と称しているが、生活レベルを下げたくないのが本音。医師も女性が言えばそのまま中絶させている。日本は中絶天国になっている。中絶と児童虐待は連動している。

 

 ワクチンや児相など、女性が子供を産んで育てるのは本当に大変な時代になった。少子化の最大の理由はそこにあるのではないかと思う。

 

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※2:【特集】政府と製薬業界、御用学者からの残酷な贈りもの ~IWJが追う「子宮頸がんワクチン」副反応被害(オープンコンテンツ)

 

※3:厚生労働省「平成25年度衛生行政報告例の概況、母体保護関係」PDFファイル

人工妊娠中絶件数:H.25(2013)年度18.6万件、H.24(2012)年度19.7万件

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■ オランダの児童養護について

 

(水岡)オランダはネオリベラリズムで、児童虐待政策についても、予算の監督・効率化が重視される。今、オランダでは児童虐待政策の構造改革が進んでいる。今年3月にオランダに行き担当部署の方から話を聞いた。

 

 今までは、公的に子供の面倒をみていた。それでは非常に費用がかかるので、子供を早く家庭に返すようになった。しかし、虐待親は再び虐待するかもしれないので、後見人を付ける。家庭裁判所の審判で決まるので、親はそれに従う法的義務がある。後見人の指示に従い、自宅で家族として子供を養育しなければならない。虐待があった特定部分については、後見人が親権を代行する。それ以外は、親が親権を行使して子供を養育する。公費で施設に収容している訳ではないので、費用は親が負担する。

 

 皮肉なことに、オランダでは、児童虐待防止政策の構造改革が進んだ結果として、子供が早く家に返されるようになった。最長1年で家庭に返される。静岡の方は8年、うちは2年も返ってこない、そんな事はありえない。

 

 日本では小泉純一郎が構造改革を言った。報道ステーションを降ろされた古賀茂明という改革派の元経産省官僚が、「利権の復活」※4 という本を出した。その本には、安倍政権になり、利権が次々と息を吹き返していると書いてある。

 利権は誰のお金なのか? 国民の血税、あるいは、国債発行による将来の血税である。日本のネオリベラリズムは、欧米の小さな政府を目指すのとは全く違う。官僚が自己利益を拡大化する為、いろいろな政策をやっている。これでは消費税を何十パーセントにしても、国家財政は破綻に向かっていく。そういう意味で、児相利権は大きな問題である。

 

※4:PHP新書「利権の復活」 古賀茂明(著)、PHP研究所、ISBN 978-4-569-80703-4

 

■ 家族のあり方について

 

(南出)ここで考えなければならないのは、家族という問題だと思う。

 

 古い話ですが、家族を全否定したのがルソー ※5 です。ルソーは娼婦に産ませた5人の子供を全て孤児院に入れ、「親がなくとも子は育つ」という教育論を展開した。そのルソーの考え方が、ロシア革命に影響を与えた。法律婚をやめて自由婚にする。子供を集めて国家が管理する。親も子供もバラバラにする。家族制度など伝統国家の過去を断絶するという方向に行った。

 

 今、日本や諸外国でこういうことが起きている。家族を分断して、親も子供もバラバラにしていく。その過度の個人主義を進める事が、社会が良くなる事という動きにものすごい危惧がある。児相利権は、過度の個人主義という時流に乗っている。子供の人権を強調して言っているが、子供の為ではなく、児相利権の為にすり替わっている。そこに大きな問題がある。

 

 児相問題の訴訟をなぜ起こすのか?、家族の絆を取り戻そうとして起こしているから。児相問題で一番由々しき問題は、「子育てに困っている方はいませんか?」と児相が言っている事。これでは、経済的理由で中絶するのと同じで、経済的理由で子供を放しても児相が引き受けるとなってしまう。子供を放したい親と、子供を引き受ける事で利権が拡大する児相、両者の利害が一致する。そういう構造になりつつあるのが一番怖い。訴訟を起こすのは、家族の絆を大事にする人たちだから。家族の絆、家族のあり方を、問い直す時代に来ているのではないか。

 

※5:ジャン・ジャック・ルソー(Jean-Jacques Rousseau, 1712年6月28日-1778年7月2日)

ジュネーヴ共和国に生まれ、主にフランスで活躍した哲学者、政治哲学者、作曲家(Wikipediaより)

 

■ 水岡氏より挨拶

 

「本日は貴重なお時間を頂きまして、報告会にご出席頂きまして、本当にどうもありがとうございました。今後ともご支援をよろしくお願い致します」

写真:第2回報告会、水岡不二雄氏と南出弁護士
第2回報告会、水岡不二雄氏と南出弁護士

■ 次回の日程

 

第3回口頭弁論

2015年6月22日(月)11時、東京地方裁判所 第803号法廷

「教育課程実施義務等請求事件」

 

第3回口頭弁論の報告会

2015年6月22日(月曜日)11時45分、虎ノ門天徳ビル4階小会議室

 港区虎ノ門1-13-5 第1天徳ビル(前回と同じ)

 中華料理店「渝園酒家(ゆえんしゅか)」を目印にして下さい。