児童相談所問題

~子供たちの叫び!~ 児童相談所一時保護所の現実

日本テレビ news every. 2015年5月7日放送


公開:2016年3月7日、更新:2017年2月19日

1.要約(反訳)

日本テレビ news every.(ニュース・エブリィ、平日夕方のニュース番組) 2015年5月7日放送

特集・子供たちが語った、一時保護施設の実態

『~子供たちの叫び!~ 児童相談所一時保護所の現実』

 

虐待や非行など様々な理由で、児童相談所(児相)に保護された子供たちが暮らす一時保護所。

 ・東京都子供家庭総合センター(東京都新宿区)

 ・東京都児童相談センター、一時保護所

 

一時保護所入居状況(平成24年度)、東京都児童相談所 事業概要2013年版より

 ・虐待 51.6%

 ・非行 23.7%

 ・養護 18.9%

 ・その他 5.8%

 

■子供たちの声を録音

 

一時保護所に学習指導員として採用された教師、行方(なめかた)正太郎さんが、平成25年8月から26年5月にかけて子供の話を録音した。

「始めて見た瞬間、ここは少年院かと思った。異常に厳しいルール。子供たちに表情がない」

「児相だから良い事をやってるイメージがあったが、こんなひどい事をしてるんだ」

「東京都の児相がこんな事をやってる。ビックリですよね」

25年6月、子供たちの訴えを聞き、一時保護所の課長に指導方法の改善を求めたが拒否された。施設の実態を知ってもらおうと、子供たちの声の録音を始めた。

 

■子供たちの声

 

「収容所みたいなの」

「怒鳴る。怖い」

「こんな生活、地獄だと言って脱走した子も」

「話しちゃいけないの。話がダメっていう意味がわかんないの」

「怒鳴る。すっごい怒鳴るし」

「怖いですよ。すごく」

「絶対、暴力は振るわないと言っていたくせに、暴力振るってんじゃんと思って」

「『悪い先生はいない、いい先生ばっかりだから、ここに来たら絶対安心できる、ここに来てよかったと思えるよ』って(児相の人が言って)安心して来たのに、違ったから、すごく泣きたくなった」

「ここには虐待を受けていた子がいるのに、声でかいし、話し方が怖いんですよ」

「保護所って虐待を受けていた子が保護されて来る場所じゃないですか。『ここは虐待もしないし暴力も振るわない』と偉い人が言っていたのに、実際は1週間位いたら、先生が男子にバーンって…」

「『無駄話するんじゃないよ』とか言われて」

「ここの決まりに従わなければ少年鑑別所に入れる」と、ある職員は子供たちを脅して押さえつけた。

など、子供たちは職員の威圧的な指導に不満を語った。

 

■運営状況

 

一時保護所の平均保護日数40日。規則では2ヶ月となっているが、もっと長期間保護されている子供もいる。

外出禁止。子供同士の会話禁止。食事の時も会話禁止。目を合わせてもいけない。

虐待を受けた児童も、非行児童も、すべて一緒に入れられている。

騒ぎを起こさないように、騒ぐ子とおとなしい子を組み合わせて入れられている。

8畳間に4~5人。寝る方向や位置も決められている。

部屋の窓にブラインドや遮光カーテンが付けられ、外を見る事もカーテンに触れる事も禁止。

 

行方さんは、

「目も合わせないで、会話もしないで、シーンとしているのが良いと」

「みんな無表情なんですよ」

 

■「個別」という個別指導

 

子供たちを従わせる為、個別指導という名の罰則がある。集団から離され、さらに行動を制限される。

壁際に机を持ってこさせて、両側についたてを立て、壁の方を向いて四字熟語をずっと書かされる。そこで食事もとらされる。100周走は、バスケットコート一面ほどの体育館を30分以内に100周走らされる。

「話すと怒られて、1回目は作文(反省文)、2回目は個別」

「なんでしゃべっちゃいけないんだろうって、本当に訳がわかんない。こっちは怖いんですよ、個別になるのが」

「過去の話をしたら、個別で漢字の書き取りと100周走。30分以内に走りきらないと何回もやらされて。意味わかんない」

「最初やった時に100周!?、それって体罰かと思ったんですけど」

「前にいたちっちゃい4年生、職員の態度が冷たくなって、個別にされて回収されるまでずっと課題だったよ。100周じゃないですか、5分も経たないのにすごいハーハーして、細くて小さいから可哀想だよ」

非行児童や言う事を聞かない子供に対して「俺見てたんですけど、先生に無理やり食わされているんですよ。個別みたいに壁に机つけて椅子に座らせて、梅干の乗った皿と箸をこうやって、誰が見ても無理やり食わされている状態」

「食事の後、お腹が痛いって吐いて、先生に『お腹痛い』って言っても『無理だ(トイレに行く許可は出せない)』って言われて。ゲロ吐いて(便も)漏らして。先生に呼ばれて作文(反省文)書いて…」体調不良を訴えた子が仮病と扱われた。

 

行方さんは指摘する。

「こうした指導は、本来の一時保護所の目的とは違う、行き過ぎたもの」

「常識的には、体罰で、虐待ですよね」

「こういう扱いをされる為に来た訳じゃないし、そういう場所でもないのに」

「『なんで家で虐待されて、ここでも虐待されなきゃいけないんだ、自分は』って思う子供が大多数」

こうした子供たちの叫びは、どこにも伝わる事はない。

「第三者評価を行ない、運営の方法を変える必要がある」

 

■子供たちが行方さんに送った手紙には、

 

「カーテンしめっぱなしで外を見たら怒られた。

先生にいきなりプロレスわざをやられて足をいためた(2回)。

ふざけてないのに、かんちがいで先生に怒られた」

 

■かつて一時保護されたA君(17歳)

 

義理の父親に暴力を振るい、2ヶ月間保護された。今は母親の保護のもと、都内の高校へ通う。保護所で受けた指導を話す。

「2週間位、部屋に1人で閉じ込められた。自分から出ていいのは、トイレに行く時だけ」

指導を受けた理由は、体育の時間にマラソンで真面目に走っていないと注意され、反論した事。

カーテンの閉ざされた6畳間で、ただひとり孤独に耐え続けた。

「お前が問題があるからここに来た訳で、ここはここなりのやり方があって、それに従ってもらう。嫌なら早く出るように努力すればいい」

2週間個室で指導を受け、彼は反論する気力を失ったばかりでなく、いっそう人間不信が強くなったと言う。

 

■信じがたい出来事

 

「脱走しようと、バッて席を立ってドア開けようとしたら、先生にガッてつかまれて…」

ある子供が脱走を企て、個別指導が行われた。

「ちょっと横向いただけで『なに横向いてんだよ』とか言って、また壁みたいなついたてを増やして。でもやんなかったら個室に入れられて。ずっとひとりで生活していて、今4日連続でご飯食べていないんだって」

抗議の食事拒否をした子供は精神科へ送られた。行方さんも立ち会っていて、

「これからだまして病院へ入院させちゃうんだよと。それは精神病院ですね。彼が出て行く時、見送ったんですよ」

「内部の悪しき慣習が延々と続いている。これにメスを入れないとダメですよね。児童養護の問題が変わらないですよね」

当時、子供を精神科へ送った事に対し、他の教師からも疑問の声が上がった。その事を知った行方さんは、ヒヤリングの席で何度も施設の課長に改善を申し入れた。そして、去年ようやく個別指導と100周走が廃止された。しかし、新年度になり職員の移動があり、個別指導と100周走が復活した。子供たちは、

「最近、個別が多いんですよ」

「個別は漢字の書き取り。あとマラソン100周。30分で走れなかったら200周」

 

■ 施設責任者に取材

 

子供たちに対する行き過ぎた指導が実際に行われているのか、一時保護所の責任者である課長に話を聞いた。カメラ取材をせず、音声も使わないという条件で、取材ができた。

個別指導については、

「個別指導は、集団になじめない子供を集団から離すためのもので、罰則ではなくケアである。(子供に説明して)本人の許可を得てから、個別指導に入る。30分100周走は、体力づくりの一環であり、100周を目標設定させて達成させる指導である」

施設のルールについては、

「保護所を出てから連絡を取り合わないように、個人情報の話は禁止している。それ以外の会話は禁止していない」

「互いに目を合わす事は、脱走の合図など問題行動につながるので禁止している」

職員の態度については、

「ケンカが起きた時などは、声を荒らげる場合もあるが、威圧的な態度で接する事はない」

しかし、子供たちに尋ねると、

「課長とか見学に来る人がいると職員の態度って違う?」、「違うなぁ」、「明らかに違う?」、「あきらかに違う」

「議員とか教科ごとの先生がいる時は、話たりしてても職員は何も言わない。だけど帰った瞬間に『お前らさっき喋っていたよな』と怒られる」

来客があったり管理職が訪れると職員の態度は一変するという。

 

■ 子供たちが行方さんに送った手紙には、

 

「大人に振り回されてきた子供たちに、まだ歪んだルールをおしつけるのか?」

「保護所というのは子供を守る場所であり、保護所に入る前よりも辛い気持ちにさせたり傷付ける場所ではないと思います。現状は、私達の気分は囚人」

 

■ 番組のコメンテーターから

 

諏訪中央病院名誉院長・作家、鎌田實さん

「虐待された子供に百周走はいらないよな。抱きしめてあげる必要の方が強い気がする。第三者を入れたちゃんとした評価委員会を作って、子供の言っている事が本当かどうかきちっと確認した方が良いですね」

 

以上

 

注:話し言葉をわかりやすい文章にしました。

2.動画(YouTube、19分20秒)

2015/05/07 news every 特集 児童保護施設の現実・子供たちの声に責任者は?(19分20秒)

 

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