児童相談所問題

施設の生活はカルト村

コミックエッセイ「カルト村で生まれました」高田かや著


公開:2017年3月18日、更新:----年--月--日

1. 児童相談所に保護された子供の生活

 

 児相問題の活動は、「奪われた子供を取り返す!」という活動です。それだけで良いのでしょうか?。

 

 施設で暮らす子供の立場から考えてみましょう。子供は、どんな理由で児童相談所に保護されたかに関わらず、児相の指示に従って施設に入所させられます。

 

 不当な理由により児童相談所に保護(拉致)された子供は、数か月で親の待つ自宅へ帰れるかもしれません。児童相談所の判断によっては、家族と電話も面会も許されず、大人になるまで親から引き離されます。どうなるにせよ、子供は施設で暮らす事しかできません。

 

 親との死別、親からの虐待や育児放棄、本人の非行や犯罪など、正当な理由により、児童相談所に保護された子供も、施設で暮らす事しかできません。

 

 彼らは、どのような生活をしているのでしょうか?。

 

2. 児童養護施設の生活とそっくり

 

 ある方から、「児童養護施設の施設で入れられた子供の生活って、この本とそっくりなんです」と、紹介して頂きました。

画像:「カルト村で生まれました」表紙

『カルト村で生まれました。』

高田かや(著)、文藝春秋

単行本1,080円、電子書籍kindle版849円 (価格は税込)

 表紙を見ると、「何がカルト村なの?。猫やトリやヒヨコと一緒に、楽しい田舎暮らし(農村生活)じゃん!」ってイメージが浮かんできます。

 

 ほのぼのとした絵とセリフで、面白おかしく書かれているので、あっという間に読み終わります。しかし、「平成の世の中に、こんな事があったなんて!」と驚くほど、問題が沢山含まれています。

 

3. カルト村、ヤマギシ会

 

 この本で言う「カルト村」とは、「幸福会ヤマギシ会」の集団農場の事です。今回はカルト問題として取り上げるのではありませんから、ヤマギシ会については記しません。興味のある方はインターネットで検索して下さい。ウィキペディアもですが、脱会者の経験談が沢山出てきます。以前、いろいろと世話になったフリースクールの代表も、ヤマギシ会の脱会者でした。理念と現実の違いから、脱会を決心したようです。

 

 皮肉な事ですが、今はカルト村「ヤマギシ会」の有機栽培農産物は高級品になりました。カルト村と言われて批判されても、農産物が高値で売れて儲かっている限り、ヤマギシ会が肯定されている事になります。民間企業で言うと、無借金の黒字経営という事ですから。

 

 米国にも、現代文明から離れて昔ながらの自給自足で暮らす「アーミッシュ」と言う宗教団体があります。こちらは、集団農場というより、文明を拒否するような教義だそうです。

 

4. カルト村と児童養護施設

 

 カルト村(以後、村と記します)の生活と、児童養護施設の生活は、何がそっくりなのでしょうか?

 

●親と子を引き離す

 

 村は、全国各地にありました。子供たちは、強制的に親から引き離され、親がいる村とは別の村で、同年代の子供たちだけで集団生活をさせられます。時々(年に数回とか)、親や家族と会う事ができます。

 

 村は、なぜ、親子を引き離すのでしょう?、親、兄弟姉妹、祖父母など、愛情を持って接してくれる家族と引き離す事が、子供の為なのでしょうか?。村は農業を基盤とした生活共同体ですから、親子関係まで破壊する必要はありません。

  

 児童相談所に保護される子供たちも、強制的に親や家族から引き離されます。時々(月に1回とか)、親子が面会できます。村と同じような状況です。子供の保護をめぐって児相と対立すると、静岡の松島氏や、晃華学園事件の水岡氏のように、面会通信の制限が行なわれます。何年間も、家族も弁護士も、子供との面会や連絡が全くできなくなります。

 

●担当職員

 

 村では、集団で生活する子供たちに、大人の世話係が一人つきます。沢山の子供たちを従わせるのは、絶対に無理です。そうなれば、体罰や食事抜きなど、強権的な恐怖支配を行なうしかありません。罰として、髪をつかんで引きずり回して壁に打ち付けるなんて、立派な虐待ですよね。世話係は、村で大人に割り当てられる役割のひとつです。沢山の他人の子供たちに対して、分け隔てなく愛情を持って接するなんて無理でしょう。

 

 児童相談所の職員は、本人の希望や適性と関係なく、人事異動で配属されたのかもしれません。養護施設の職員は、不景気で他の就職先がなく、施設に就職したのかもしれません。そんな状況であれば、子供たちに愛情を持って接するのは無理です。また、施設によっては、職員と子供が親密にならないように指導しています。なぜ、刑務所と同じ指導をするのでしょうか?。

 

●子供同士

 

 村では、子供同士の支え合いや、離れていて会う機会が少なくても、親・家族・村の外にいる親戚との触れ合いがありました。

 

 施設では、子供同士が仲良くなる事を禁止しています。親や家族と、面会や連絡を全て禁止する事もあります(面会通信の制限)。子供と職員が親しくなる事を禁止する施設もあります。愛情を与えず、ひとりぼっちにして、どうするつもりなのでしょうか?。

 

●自由がない、本人の希望や適性は無視

 

 村では、子供にも、農作業や掃除など役割が割り当てられました。その役割は、日曜も休みがありません。高校に行かせてもらえない子供もいました。大人も子供も、村の決まりからはみ出さずに生きていく事しか許されませんでした。それは、村が経済的に苦しかったからではありません。村は、世界銀行ひとつ分のお金を持っていました。それゆえに、カルト村と呼ばれたのです。

 

 施設の子供たちも、児相や施設の規則の中で生きていく事しか許されません。高校に進学する際も、本人の希望や適性ではなく、児相や施設の都合により、進学先が制限されます。勉強、スポーツ、趣味など、本人の希望や適性に合わせた進学や生活ができない事が、カルト村とそっくりなのです。