保護された児童生徒を学校が出席扱いにするかどうか


公開:2016年6月22日、更新:2017年2月19日

 児相に保護されている子供が登校できない場合に、学校(小学校・中学校・高校)が出席扱いにするかどうかの判断について、文部科学省・初等中等教育局から出ている局長通知です。転載日以降の変更や、転載時のミスなどにご注意ください。

 

転載元:

文部科学省、「一時保護等が行われている児童生徒の指導要録に係る適切な対応及び児童虐待防止対策に係る対応について」
文部科学省、(別紙1)一時保護等が行われている児童生徒の指導要録に係る適切な対応等について
文部科学省、(別紙2)児童相談所の一時保護所の学習環境が出席扱いを認めることができるかを判断する際の目安

転載日:2016年6月21日


27文科初第335号

平成27年7月31日

各都道府県教育委員会

各指定都市教育委員会

各都道府県知事

附属学校を置く各国立大学法人学長

小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長 殿

 

文部科学省初等中等教育局長

小松親次郎

一時保護等が行われている児童生徒の指導要録に係る適切な対応及び児童虐待防止対策に係る対応について(通知)

 児童虐待への対応については、「児童虐待の防止等のための学校、教育委員会等の的確な対応について」(平成22年3月24日付け21文科初第777号)(参考資料1)等を踏まえ、学校や教育委員会等において、これまでも様々な努力がなされているところですが、児童虐待の相談対応件数の増加傾向が続くなど、引き続き適切な対応が求められています。

 このような状況の下、「児童福祉法」(昭和22年法律第164号)に基づく一時保護の件数も増加しているところ、この一時保護が行われる間は学校へ通うことができなくなることがあります。加えて、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(平成13年法律第31号)及び「売春防止法」(昭和31年法律第118号)等に基づき婦人相談所による一時保護が行われている児童生徒及び婦人保護施設に保護されている児童生徒についても、これらの措置が行われる間は学校へ通うことができなくなることがあります。

 一方、近年では、例えば、児童相談所の一時保護所において、退職教員等の学習指導協力員の配置や一定の学習時間の確保等、一時保護が行われている児童の学習条件を向上させる取組も行われているところです。

 ついては、こうした状況等を踏まえ、一時保護が行われている児童生徒及び婦人保護施設に保護されている児童生徒(以下「一時保護等が行われている児童生徒」という。)の指導要録に係る適切な対応等を下記 1. のとおりお示しすることとしました。

 

 また、関係府省庁によって「児童虐待防止対策等について」(平成26年12月26日児童虐待防止対策に関する副大臣等会議)(参考資料2)が取りまとめられており、居住実態が把握できない児童生徒への取組のほか、児童虐待の未然防止、早期発見・早期対応等のための速やかな実施に向けて取り組む主な対応策が示されています。

 これを踏まえ、学校や教育委員会等における児童虐待防止に係る対応を進める上での留意事項を下記 2. のとおり整理しましたので適切な対応をお願いします。なお、居住実態が把握できない児童生徒への取組については、「居住実態が把握できない児童への対応について」(平成27年3月16日付け総行住第33号、26初初企第53号、雇児総発9316第1号)が別途通知されていますので、併せて御留意願います。

 

 ついては、都道府県・指定都市教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会等に対して、都道府県知事にあっては所轄の私立学校に対して、国立大学法人の長にあっては設置する附属学校に対して、株式会社立学校を認定した地方公共団体の長にあっては認可した学校に対して、これらの趣旨についての周知を図るとともに、適切な対応がなされるよう御指導をお願いします。なお、本通知に関しては、厚生労働省と協議済みであり、同省に対し、関係機関等への本通知の内容の周知方を依頼済みであることを申し添えます。

 

----- 記 -----

1. 一時保護等が行われている児童生徒の指導要録に係る適切な対応等について

 児童相談所の一時保護所の学習環境等については、その充実に向けこれまでも学習指導協力員の配置など様々な取組が進められてきたところであるが、「児童虐待防止対策等について」において「学校と児童相談所等関係機関の連携」を推進することが示されたこと等を踏まえれば、一時保護等が行われている児童生徒の学習状況の評価等についても関係機関が連携して適切な対応を進める必要がある。

 したがって、一時保護等が行われている児童生徒の指導要録上の取扱い等について、別紙1及び別紙2によることとするので、これを踏まえて適切な対応を行うこと。

 その際、都道府県教育委員会等においては、学校における指導要録上の取扱い等について各学校の円滑な判断が行われるよう、児童相談所における相談・指導の状況等について、当該児童相談所からの情報提供を踏まえ、域内の学校に情報提供することが考えられること。また、都道府県教育委員会等において、児童相談所の求めに応じ、その学習環境を充実させる観点から、一時保護所の学習指導協力員となる者として退職教員を紹介する等の協力を行うこと。 

2. 児童虐待防止対策に係る対応について

(1) 学校等の間の情報共有について

 

 「児童虐待防止対策等について」においては、「進学・転学の際の学校等の間の情報共有」を推進することが示されているが、指導要録に記されている学習状況や出席日数、健康診断票に記されている健康の状況等は、支援が必要な幼児児童生徒を発見するに当たって重要な情報となる場合もあるものである。

 ついては、進学・転学に当たっては、法令にのっとり行うこととされている進学・転学先への文書の送付はもとより、対面、電話連絡、文書等による学校間での引継ぎの実施、学校の担当者やスクールソーシャルワーカー等によるケース会議の開催等により、支援が必要な幼児児童生徒に係る学校等の間の適切な連携を進めること。

 個人情報保護の観点からどこまで情報を引き継げるかについては、適用される関係法令に基づき各学校等が判断することとなり、一般的には、公立学校には当該学校を設置する地方公共団体の個人情報保護条例が、私立学校を設置する学校法人等には「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号)及び関係条例が、国立大学法人には「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第59号)が適用されるものであること。その際、一般的には、

 

  • 設置者を同じくする学校間での引継ぎについては、個人情報の利用目的の範囲内であることが原則であるが、利用目的の範囲外であっても、私立学校においては、人の生命、身体等の保護のためや児童生徒の健全な育成の推進のために特に必要があり、本人の同意を得ることが困難である場合、国立大学法人の設置する学校においては、法令の定める業務の遂行に必要な範囲で行われるものであり、かつ、相当な理由がある場合は、保有個人情報の内部利用として認められるときがあること
  • 設置者を異にする学校間での引継ぎについては、個人情報の第三者提供に該当することから、本人の同意を得ることが原則であるが、私立学校においては、人の生命、身体等の保護のためや児童生徒の健全な育成の推進のために特に必要があり、本人の同意を得ることが困難である場合、国立大学法人の設置する学校においては、明らかに本人の利益になる場合や、特別な理由がある場合であれば、関係法令上、第三者提供が認められるときがあること
  • 公立学校においては、個人情報保護条例の利用目的や第三者提供に関する規定において、類似又は同趣旨の定めがなされていることがあること

等に留意した上で必要な情報共有を図ること。また、個別の案件で疑義がある場合は、関係法令を所管する行政の部局へ問い合わせることが考えられること。

 

(2) 児童虐待等に係る研修の実施について

 

 「児童虐待防止対策等について」においては、「学校と児童相談所等関係機関の連携」を推進することが示されており、虐待を発見するポイントや、発見後の対応の仕方等について、教職員の理解を一層促進することが求められる。

 ついては、学校や教育委員会等においては、以下の資料等を参考にするとともに、「児童虐待の防止等のための学校、教育委員会等の的確な対応に関する状況調査結果について」(平成23年3月4日付け22初児生第65号)(参考資料3)に沿って、児童相談所の職員を講師に招くなどして、今後とも教職員に対する研修の充実に努めること。

(参考資料)

  1. 児童虐待の定義、関連する法律などの基礎的な知識と近年の状況については「児童虐待防止対策」(厚生労働省HPに掲載)を参照。
  2. 児童虐待についての学校における対応について
    ○ 学校生活の中における児童虐待の兆候等については「児童虐待防止と学校」(文部科学省HPに掲載)の「第3章学校生活での現れ」を参照。
    ○ 学校と福祉機関との役割分担や通告後の対応等については「児童虐待防止と学校」(文部科学省HPに掲載)の「第6章疑いから通告へ」を参照。

(3) 児童虐待に係る通告についての組織的な対応等について

 

 「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号)の第5条第1項においては、学校及びその教職員による児童虐待の早期発見の努力義務が定められており、また、「児童虐待防止対策等について」においても、学校の組織としての「適切な通告の実施」の必要性が改めて示されていることから、学校及びその教職員は法令の趣旨を理解して児童虐待に関し適切な通告を行う必要がある。

 ついては、教育委員会等においては、「児童虐待に係る速やかな通告の一層の推進について」(平成24年3月29日付け23文科初第1707号)(参考資料4)の別紙3に記載のとおり、虐待の事実が必ずしも明らかでなくとも一般の人の目から見れば主観的に児童虐待が疑われる場合は通告義務が生じることや、法の趣旨に基づくものであれば、その通告が結果として誤りであったとしても、そのことによって刑事上、民事上の責任を問われることは基本的には想定されないこと等を改めて学校に対し周知すること。 また、通告は、教育機関と福祉機関の専門性の違いを尊重しつつ両者が協働していく契機と捉え、教職員個々人の対応に加え、学校組織として関係法令に沿った適切な対応を行うよう周知すること。

 

(別紙1)一時保護等が行われている児童生徒の指導要録に係る適切な対応等について

(別紙2)児童相談所の一時保護所の学習環境が出席扱いを認めることができるかを判断する際の目安

 

(参考資料1)「児童虐待の防止等のための学校、教育委員会等の的確な対応について(通知)」(平成22年3月24日)

(参考資料2)児童虐待防止対策等について(平成26年12月26日)(抄)

(参考資料3)「児童虐待の防止等のための学校、教育委員会等の的確な対応に関する状況調査結果について(通知)」(平成23年3月4日)(PDF:868KB)

(参考資料4)「児童虐待に係る速やかな通告の一層の推進について」(PDF:2561KB)

 

お問合せ先:初等中等教育局児童生徒課企画係

 

文部科学省

〒100-8959 東京都千代田区霞が関三丁目2番2号

電話番号:03-5253-4111(代表) 050-3772-4111(IP電話代表)


(別紙1)一時保護等が行われている児童生徒の指導要録に係る適切な対応等について

 児童福祉法に基づく一時保護が行われている児童生徒は,当該措置が行われる間,学校へ通うことができなくなることがある。また,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律及び売春防止法等に基づき婦人相談所による一時保護が行われている児童生徒及び婦人保護施設において保護されている児童生徒についても,これらの措置が行われる間は学校へ通うことができなくなることがある。

 一方,近年では,例えば,児童相談所の一時保護所においては,退職教員等の学習指導協力員の配置や一定の学習時間の確保等,一時保護が行われている児童生徒の学習条件を向上させる取組も行われている。

 このような状況等を踏まえ,一時保護等が行われている児童生徒については次のように,指導要録に係る適切な対応等を行うことが必要である。

1. 一時保護が行われている児童生徒が児童相談所の一時保護所において学習を行っている場合

 児童相談所の一時保護所で一時保護が行われている児童生徒の中には,当該施設において,相談・指導を受け,学校における学習活動に遅れが生じないよう努力している者もいる。このような者の努力を学校として評価し支援するため,以下の要件を満たす場合には,当該施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができることとする。

 

(出席扱いの要件)

 一時保護が行われている児童生徒が児童相談所の一時保護所において相談・指導を受ける場合であって,当該児童生徒の自立を支援する上で当該相談・指導が有効・適切であると判断され,かつ,以下の要件を満たすときには校長は指導要録上出席扱いとすることができる。

  1. 当該施設と学校との間において,児童生徒の生活指導や学習指導に関し,十分な連携・協力が保たれていること。
  2. 別紙2を参考としつつ,当該施設において,児童生徒の状況に適した学習環境が整えられているなど,適切な相談・指導が行われていることが確認できること。

 なお,指導要録上出席扱いとした場合,指導要録においては,「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」(平成22年5月11日付け22文科初第1号(以下「平成22年通知」という。))を踏まえ,出席日数の内数として出席扱いとした日数及び当該施設において学習活動を行ったことを記入すること。

2. 一時保護等が行われている児童生徒が学習を行っていない場合

 一時保護等が行われている児童生徒については,その心身の状態から学習が困難であったり,学校に出席できなかったりすることがある。このため,一時保護等が行われている児童生徒が学校に出席できておらず,かつ,一時保護所又は一時保護所以外の施設で学習を行っていない場合には,平成22年通知の別紙1,2及び3中「出席停止・忌引等の日数」に含めることとされている「非常変災等児童(生徒)又は保護者の責任に帰すことのできない事由で欠席した場合などで,校長が出席しなくてもよいと認めた日数」に含める扱いとすることが適当である。

 なお,指導要録においては,平成22年通知を踏まえ,一時保護等が行われている児童生徒であることを理由として出席停止・忌引等の日数としたこと及びその日数を記入すること。

3. その他の留意点

(1) 一時保護所以外の施設で一時保護が行われている児童生徒及び婦人保護施設において保護されている児童生徒が学校に出席できていないときは,これらの措置が児童の福祉を保障する観点等から行われるものであることに留意し,1. を参考としつつ,児童生徒の自立を支援する上で有効・適切であると判断される場合であって,当該児童生徒に対しこれらの措置の実施主体と学校との連携・協力の状況,学習環境等の相談・指導の状況等を勘案して適切であると認められるとき,出席扱いとすることができることとする。
 また,指導要録上出席扱いとした場合,指導要録においては,平成22年通知を踏まえ,出席日数の内数として出席扱いとした日数及び当該施設において学習活動を行ったことを記入すること。

(2) 一時保護等が行われている児童生徒が学校に復帰した際,当該学校は児童生徒の状況に応じ補習等を実施し,小・中学校における各学校の課程の修了や高等学校における単位の認定等を適切に行うことが望ましいこと。


(別紙2)児童相談所の一時保護所の学習環境が出席扱いを認めることができるかを判断する際の目安

 児童相談所については「児童相談所運営指針」(平成2年3月5日付け児発第133号を累次改正)が定められており,その中では,一時保護所の運営に関し,学習の実施に当たっての配慮事項が定められている。

 学校長は,一時保護が行われている児童生徒について指導要録上出席扱いとする場合には,児童相談所に置かれている児童福祉司等を通じ,児童生徒の状況に適した学習環境が整備されていることを確認することが必要であり,その際の参考となるよう以下の目安を示すものである。

(1) 教育指導の方法・内容

  • 児童相談所運営指針に沿って,例えば,午前中は学習指導,午後はスポーツ等のプログラムが組まれるなど,一定の教育指導の時間が確保されていること。
  • 学校から聴取した状況等も踏まえ,当該児童生徒の学習到達の状況を適切に評価し,当該児童生徒の状況に応じた方針に基づき,教育指導が実施されていること。
  • 児童相談所や児童生徒の実状に応じて,個別指導と併せて,集団指導が実施されていること。
  • 児童相談所の運営・管理の許す限りにおいて,体験学習が取り入れられていること。

(2) 教育指導の体制

  • 教育指導に当たっては,教員経験やそれに準ずる教育指導の経験のある学習指導協力員や職員が中心となるとともに,その他の職員の協力も得て,「不登校への対応の在り方について(通知)」(平成15年5月16日付け15文科初第255号)の中の「教育支援センター(適応指導教室)整備指針(試案)6.指導体制等」を参考にしつつ,個に応じたきめ細かな教育指導がなされる体制となっていること。
  • 児童生徒の指導方針等については,心理や福祉に関する専門的な資格を有する者の協力を得て定められていること。

(3) 施設・設備等

  • 施設・設備は,保健衛生上,安全上及び管理上適切なものであり,集団で活動するための部屋,相談室,職員室などを備えていること。
  • 体育館等を備えていたり,体育館等を有しない場合は周辺に代替できる施設や環境が整えられていたりするなど,スポーツ活動や体験活動の実施に関する配慮がなされていること。
  • 児童生徒の教育指導に必要な教具を備えていること。